
それはもっともでして、演劇といいましても、この演劇の中にまたいろんなジャンルがある。いわゆる新劇というのがあります。小劇場演劇なんていう言い方もあります。小劇場演劇とはいうものの、人気のある劇団は小劇場どころかメジャーになっています。それから一般的に商業演劇と言われるものもある。いわゆるどさ回りの大衆演劇というのもありますね。それから、歌舞伎、新国劇、新派、いろんなお芝居があります。ミュージカルもあります。いろんなジャンルの演劇、ミュージカルというのがあって、さて、今何がおもしろいか、どれがおもしろいかということになると、なかなかつかみかねると思うのですね。近ごろは、どこどこの劇団はおもしろいというのだけではなくて、個々にいつ、どこで、誰だれがやった何という芝居はおもしろいということになってきました。いわゆるプロデューサーシステムというんでしょうか、こういう作品をこんな俳優さんで、こういう趣向で、こういう演出でやりたいというような、そういう志向でプロデューサーが、その演劇のために演出家なり俳優さんなりを集めて芝居を打つといったものになかなかおもしろいものがあります。山下さんはまさにそういう仕事をやっている人なのです。だれだれがプロデュースした、あの舞台はおもしろいよといったところまで目を光らせていないといけません。 また、自分が本当におもしろいと思える芝居は何なんだ。これまた一言で言いにくいと思います。演劇の場合はたいへん複雑です。脚本家がいて、演出家もいて、舞台美術家がいて、照明さんや音響さんがいて、衣装からかつら屋さんまでいて、ミュージカルになったら作曲家がいて、ダンスシーンがあれば振り付けの人もいる、それから俳優さんがいる。そういう人たちが自分の創造意欲で、自分だけしかできない物づくりをやって、そういうものが1つになってお芝居なり、ミュージカルなりになっていく。だから一言でおもしろい、質がよいというように言い切れる基準がなかなか見当たらない、見つけにくいと思います。 そんなわけで、演劇公演に取り組む場合に、どんな舞台作品をとりあげていくかということは、たいへんむづかしい。そこできょうのテーマの「舞台芸術運営論」ということになるんですが、その芝居づくりの中心にいて、何もかも知り尽くして、いるプロデューサーという仕事を知るということがいちばんだと思います。 また同時に、もう1つ大事なことは、いろんな芝居の中から、これをやろうと決めるときは、皆さんに思い切り自信を持って決めてもらいたい。それを見たら自分の気持ちが踊
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